| 物語アート 〜アメリカ現代美術という物語〜 |
Text by: トシダミツオ
Part 1: 新世紀壱年
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アメリカ内部問題
猫も杓子もグローバリゼーションという風潮を批判的に考える上で、ハーレムのスタジオ・ミュージアムで開かれた8人の若手アフリカ系アーティストの展覧会「フリースタイル」が地方色が濃く面白かった。
「フリースタイル」という題はジャズの即興演奏から来ているに違いないが、音楽に比べるとビジュアルアートはアメリカ黒人文化のなかではマイナーなメディアであった。80、90年代のマルチカルチュラリズムの台頭によって「ブラック・アート」の言説が確立し、長い活動経験のあるデビッド・ハモンズやエイドリアン・パイパーなどが再評価されると同時に、フレッド・ウィルソン、ゲーリー・シモンズ、ローナ・シンプソン、カラ・ウォーカーといった新しいスターを生み出した。
「フリースタイル」展ではその後に続く世代の作家が紹介されている。中でもライヤ・アリの「グリーンヘッド」キャラクターやリコ・ガットソンのKKK 団をほのめかす「炎」の作品はすでにメインストリームのアートワールドでもお馴染みになっている。全部の作品について書くことは出来ないが、全体的な印象としてアフリカ系アメリカンは地方的なものへのこだわりを手がかりにして、「言うべきことを言える」アーティストを輩出することに成功しているように思われる。
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Eric Wesley
Kicking Ass, 2000
mixed media
72 x 96 x 48 in.
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Louis Cameron
Grid #9, 2000
acrylic and gesso (on floor)
1/8 x 34 x 33 in.
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Trenton Doyle Hancock
Friends Indeed, 2000
mixed media on canvas
72 x 96 in.
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写真提供:The Studio Museum in Harlem
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プロダクトメーカーとアートメーカー
話しをメインストリームのアートに戻すが、チェルシーに移転したメアリーブーン・ギャラリーでのロス・ブレックナーの新作展はなかなか迫力満点だった。インスタレーションやテクノロジーアートを始めとするアートメディアの拡張は基本的には歓迎されるべきものだが、それが必ずしも作品内容の充実に繋がらないのは既成事実である。
奇抜さだけが売り物の作品や思いつきだけに頼っている作品が大半を占めるアート界の中でロス・ブレックナーの作品は内容、技巧的にも圧巻である。ペインティング(油絵)の可能性をいまだに追及するという時代錯誤なアプローチ自体がむしろ新鮮に写る。余談だが、彼がイーストビレッジのポストモダン派、ネオコンセプチュアル派のアーティストたちに敬愛されていたことはあまり知られていない。
ジェフ・クーンズの亜流に過ぎないプロデューサー(ビジネスマン)型の利口なアーティスト(?)が多数のアシスタントを使ってプロダクトを製造するのが良しとされる状況の中で、修練を積み、瞑想的な空間と時間を再導入するロス・ブレックナーの作品はポップ(キッチュ)を超えた濃厚な表現を実践している。
6/30/2001
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